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ぼくらの詩(8)
アサノタカオ 詩人の庭——永井宏が永井宏になるまで(1) 「ぼくらの詩(6) 聴こえてくる声を待ちながら」に引き続き、永井宏さんの作品と人生を、“詩人”としての顔にスポットライトをあてながら読み解くちいさな評伝を不定期連載します。 ・ 1960年ごろの世田谷の少年時代...

Saudade Books
2019年6月10日
ぼくらの詩(7)
アサノタカオ 読むことの風 ・ 半年ぶりに、沖永良部島に渡った。 お盆明けの島は、ちょうど夏祭りの日だった。島の西南端にある知名町のメインストリートである「商店街通り」は、ふるさとを離れて暮らしている親類たちがいっせいに帰省しているということもあり、日暮れ前から大いににぎわ...

Saudade Books
2019年5月1日


ぼくらの詩(6)
アサノタカオ 聴こえてくる声を待ちながら——永井宏さんのこと ・ 悲しく楽しい音がした 冷たく嬉しい音もする 聴こえてきたのは、心の中の奥にある 小さく残った過去の音 遠くの方で、笑い顔が見張っている ——永井宏「聴こえてきたもの」...

Saudade Books
2019年4月1日


ぼくらの詩(5)
アサノタカオ 蔵書返却の旅——塔和子さんのこと ・ 私は言葉の墓だ 私の血と肉をくぐって 言葉が甦ってゆくのを眺めながら 私の土壌は果てしなく広がり 私の骨が言葉に喰い入ってゆくのを見送ろう ——塔和子「墓」より...

Saudade Books
2019年3月1日
ぼくらの詩(4)
アサノタカオ 詩人・山尾三省との出会い ・ 屋久島の宮之浦港で船を降りて、まず目に飛び込んできたのが雲だった。見上げれば緑の山があり、その背後から大きな雲が覆いかぶさっている。じっと眺めていると、巨大な生き物のように刻一刻と姿を変えていく。息をのんだ。...

Saudade Books
2019年2月23日


ぼくらの詩(3)
アサノタカオ 詩と夜空にかがやくもの ・ 小学校から帰ってきた幼いむすめが、しょんぼりしている。何ごとかと思って聞いてみいても、なかなか答えない。親としてはとても気になるけれど、まあ、そんな日もあるだろう。 実を言えば、ぼくもひどく落ち込んでいたのだった。...

Saudade Books
2019年1月7日
ぼくらの詩(2)
アサノタカオ ・ 原民喜『幼年画』のことなど 詩人・作家の原民喜の短編小説「貂」の冒頭に、私の好きなこんな場面ある。 「帰り路の屋根の色は青く黒く、灯は黄色だった。「夜、色鉛筆使っても駄目よ、黄色なんか白と間違えるから」と姉の菊子は云う。雄二は、しかし、白と間違ってみたかっ...

Saudade Books
2018年12月2日


Our Poetry(1)
アサノタカオ ・ 『ジット・プミサク+中屋幸吉 詩選』のこと 市街地にこんもりとそびえる森の中に入り、いびつなジグザグを描く幅の狭いコンクリートの階段を、頂上を目指して一段一段踏みしめてゆく。島の季節は冬なのに、両脇に茂る緑にはまだいきおいがあった。しばらくのぼったところで...

Saudade Books
2018年11月1日
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