Saudade Books2019年4月2日The Road to Yakushima #5(宮脇慎太郎)episode 5 この原稿を九州、五島列島に向かう客船の中で書いている。半年前の屋久島の旅の意味は、時間が経つにつれ自分の中で大きくなっていた。しかしこうして文章を書いているあいだは、あの時もっと話を聞いておけばよかったとか、もっとこんな写真を撮っておけばよかったとか、と...
Saudade Books2019年3月1日The Road to Yakushima #4(宮脇慎太郎)episode 4 「あー、雨降って来ちゃったね」 アサノさんが空を見ながら呟く。一湊や宮之浦など屋久島の外周を走っている時は、空は抜けるような快晴だった。しかし安房を過ぎ、「ヤクスギランド」への山道に差し掛かった当たりから天気は急変。みるみるうちに暗くなってきた。屋久島初...
Saudade Books2019年2月2日The Road to Yakushima #3(宮脇慎太郎)episode 3 目が覚めると、部屋は真っ暗。どうやら夢を見ていたようで、見慣れない天井を見てもすぐには記憶が復活せず、一瞬自分がどこにいるの分からない。 それならば、と夢の内容を思い出そうとしても、一瞬天井に意識が行ったからか霧のように記憶が霞んでまったく思い出せない。...
Saudade Books2019年1月7日The Road to Yakushima #2(宮脇慎太郎) episode 2 目が覚めると、すべては光りの中にあった。 ついさっきまで水平線しか見えなかった高速艇の小さな窓から、頂に雲をまとい垂直にそびえる山塊が見える。今まで見たどの山にも似ていない、深い深い緑。間違いない、ここは屋久島だ。ついに到着したんだ。ずいぶん昔、自分にし...
Saudade Books2018年12月1日The Road to Yakushima #1(宮脇慎太郎)episode 1 「10月に屋久島に行かない?」 記録的猛暑と言われた2018年の夏に、突然届いたメッセージ。他にもその年は大阪北部の地震から始まり、西日本集中豪雨や異常進路の台風など、災害に悩まされた年だった。 初めて屋久島のことを意識したのは、いつのことだっただろう?...