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      Hello folks #番外編 外へ出よう(太田明日香)
      Saudade Books
      • 2020年8月2日

      Hello folks #番外編 外へ出よう(太田明日香)

      2年間のカナダ滞在経験から「外国で暮らすこと」や「外国人になること」を考える詩とエッセイの連載です。 . 外へ出よう 外へ出よう 陽の光を浴びに はためく洗濯物 赤ん坊の声 ゴミ捨て場の匂い 全部ある 暑くなれば 川辺へ行って せせらぎを聞こう 汗をかけば 水を飲んで 風に吹かれよう 外へ出よう いついかなる時も 知らない人 会いたい人 会いたくない人 みんないる 雨に降られても 傘をさして 駆け出そう 犬に吠えられても 名前を呼んで 撫でてやろう 隣の街へ 向こう側へ 山を越えて もっと遠くへ その先に待つのは どこまでも輝く広い海 . 引きずり出され外へ出るようになって1ヶ月あまり。社会は「ウィズ・コロナ」の呼び声のもと、注意喚起を呼びかけ平常運転を装って人を外へ外へと駆り立てる。外へ出ても安全だという証拠を突きつけられれば、何も持たないわたしたちはそれに従わざるを得ず、それ以上恐怖を述べたてたり警戒することは「〜警察」というレッテルを貼られ、エビデンスを解さない無知蒙昧な行為と切り捨てられる。 できることならうちにいたいと思っていても、仕事
      Hello folks #番外編 引きずり出されて #2(太田明日香)
      Saudade Books
      • 2020年7月24日

      Hello folks #番外編 引きずり出されて #2(太田明日香)

      2年間のカナダ滞在経験から「外国で暮らすこと」や「外国人になること」を考える詩とエッセイの連載です。 . 引きずり出されて 緊急事態宣言が解かれて1ヶ月がたった。 穴に籠る前はまだ肌寒かった。 外ではいつのまにか季節は変わり、 花の季節は終わってもう梅雨だ。 引きずり出されてしぶしぶ外に出ると、 街を歩けばいたるところに壁がある。 マスク、仕切り、足下の線。 人と人の間に壁があるのが当たり前の世界。 素顔を見られるのはオンラインだけ。 新しい生活様式がこの先どれほど私たちの心に影響するのかまだわからない。 原理的には、壁なしでも2メートル以上離れるとか換気するとか手洗いうがいを念入りにすればいいわけだ。 逆に壁があるからといって近い距離でベラベラおしゃべりしたり消毒を怠ったりすれば効果がない。 だけどもう壁はマナーになってしまって、壁がない世界には引き返せない。 顔を晒して歩けば白い目で見られる。 壁を顔に貼り付けて、 毎日息苦しくて仕方がない。 物理的だけじゃなく、精神的にもだ。 いつからこんな息苦しい世界になってしまったのか。 . 緊急事態
      Hello folks #番外編 引きずり出されて #1 (太田明日香)
      Saudade Books
      • 2020年7月18日

      Hello folks #番外編 引きずり出されて #1 (太田明日香)

      2年間のカナダ滞在経験から「外国で暮らすこと」や「外国人になること」を考える詩とエッセイの連載です。 . 引きずり出されて 緊急事態宣言が解かれて1ヶ月がたった。 穴に籠る前はまだ肌寒かった。 外ではいつのまにか季節は変わり、 花の季節は終わってもう梅雨だ。 引きずり出されてしぶしぶ外に出ると、 街を歩けばいたるところに壁がある。 マスク、仕切り、足下の線。 人と人の間に壁があるのが当たり前の世界。 素顔を見られるのはオンラインだけ。 新しい生活様式がこの先どれほど私たちの心に影響するのかまだわからない。 原理的には、壁なしでも2メートル以上離れるとか換気するとか手洗いうがいを念入りにすればいいわけだ。 逆に壁があるからといって近い距離でベラベラおしゃべりしたり消毒を怠ったりすれば効果がない。 だけどもう壁はマナーになってしまって、壁がない世界には引き返せない。 顔を晒して歩けば白い目で見られる。 壁を顔に貼り付けて、 毎日息苦しくて仕方がない。 物理的だけじゃなく、精神的にもだ。 いつからこんな息苦しい世界になってしまったのか。 . 4月から
      Hello folks #番外編 かつてのいつも(太田明日香)
      Saudade Books
      • 2020年6月6日

      Hello folks #番外編 かつてのいつも(太田明日香)

      2年間のカナダ滞在経験から「外国で暮らすこと」や「外国人になること」を考える詩とエッセイの連載です。 . かつてのいつも 町中に足音と声が響いて いつもがはじまる 人の流れに乗っていれば 目をつぶっていても ディスプレイを見たままでも たどり着ける ある日途絶えた足音で いつもの終わりに気づく やって来たのは 知らなかったいつも 新しいいつもか いつか終わるいつもか わからないまま 足音はばらばらにされ 流れを失い一人で過ごす 一人ぼっちのわたしたちに 知らなかったいつもが 聞いたことのない静けさのなか たくさんのざわめきを連れてやってくる ざわめきは多すぎて 一つ一つの声を聞こうとしても 小さすぎて聞き取れない 次から次へと押し寄せて 全部聞く前に流れてしまう 町中に足音も声も響かない 足音が消えたせいで 目的地を見失って かつてのいつもを思い出せない 一人にされたわたしたちに 知らなかったいつもが 聞いたことのない静けさのなか 大きなざわめきを連れてやってくる ざわめきは大きすぎて 小さな声を聞こうとしても うるさすぎて聞き取れない 割れるほ
      Hello folks #番外編 2メートルをこえる時間(太田明日香)
      Saudade Books
      • 2020年4月26日

      Hello folks #番外編 2メートルをこえる時間(太田明日香)

      2年間のカナダ滞在経験から「外国で暮らすこと」や「外国人になること」を考える詩とエッセイの連載です。 . 2メートルをこえる時間 今一番遠いのは手を伸ばせば届く距離 2メートル あなたの顔は見えるけど あなたの声は聞こえるけど あといっぽは許されない 昨日から今日、今日から明日 時間は引き伸ばされ 昨日は今日の続きではなく、 明日は今日の続きではなく、 日付変更線をこえたときのように 今日の繰り返しのただなかに放り込まれる 2メートルをこえる時間 引き伸ばされた今日の中 あなたの顔は見えるけど あなたの声は聞こえるけど 明日が来ても この距離は変わらないままか 日付変更線は 留め置かれたままでは見えず そこにいたるまでの航路も見つからない 今一番長いのは来ない終わりを待つ時間 2メートル あなたの口元が見えるまで あなたのぬくもりに触れるまで 引き伸ばされた今日のただなかで 手を伸ばせばすぐそこに あなたのぬくもりがあり あなたのにおいがある それは明日 それこそが明日 明日が来れば 2メートルはこえられるだろうか 日付変更線を 留め置かれた今日
      Hello folks #12 海を越えて #3 敵国人とされて(太田明日香)
      Saudade Books
      • 2019年12月22日

      Hello folks #12 海を越えて #3 敵国人とされて(太田明日香)

      2年間のカナダ滞在経験から「外国で暮らすこと」や「外国人になること」を考える詩とエッセイの連載です。 . 海を越えて わたしたちを分かつもの それはただの海だった わたしたちだった人たちを だれもが思い出していた 海を越えたその先で 同じ言葉と同じ顔 思い出すのは同じ海 わたしたちを分かつもの 金、生活、もう何年も わたしたちだった人たちを 稼ぎ、暮らす毎日が 知らない人に変えてゆく あの海はなんども越えた だけど、同じ海はもう見ない わたしたちを分かつもの 国、戦争、パスポート わたしたちだったころを みな忘れ覚えていない そこにいたことも わたしたちのあの海は 鮭を追って 越えた海 わたしたち、だったころ わたしたちはそこにいた . コミュニティセンターで日系3世のアリスという女性と知り合ったことをきっかけに、日系人の歴史に興味をもち、日系センターが主催するツアーで戦前の日系コミュニティがあったパウエル・ストリートを訪ねた。だが、1940年代まで隆盛を誇ったパウエル・ストリートは、1941年12月7日の真珠湾攻撃により、状況は一変した。日米間
      Hello folks #11 海を越えて #2 パウエル・ストリート(太田明日香)
      Saudade Books
      • 2019年11月28日

      Hello folks #11 海を越えて #2 パウエル・ストリート(太田明日香)

      2年間のカナダ滞在経験から「外国で暮らすこと」や「外国人になること」を考える詩とエッセイの連載です。 . 海を越えて わたしたちを分かつもの それはただの海だった わたしたちだった人たちを だれもが思い出していた 海を越えたその先で 同じ言葉と同じ顔 思い出すのは同じ海 わたしたちを分かつもの 金、生活、もう何年も わたしたちだった人たちを 稼ぎ、暮らす毎日が 知らない人に変えてゆく あの海はなんども越えた だけど、同じ海はもう見ない わたしたちを分かつもの 国、戦争、パスポート わたしたちだったころを みな忘れ覚えていない そこにいたことも わたしたちのあの海は 鮭を追って 越えた海 わたしたち、だったころ わたしたちはそこにいた . 前回ではコミュニティセンターで出会ったアリスという女性の半生と、和歌山県出身者が多いリッチモンド市のスティーブストンの漁業者の歴史を中心に日系人の歴史を書いた。しかし、日系人の最大のコミュニティがあったのは、バンクーバーのパウエル・ストリートだ。 戦前にバンクーバーで活躍した野球チーム「Asahi」を描いた映画『
      Hello folks #10 海を越えて #1 アリス(太田明日香)
      Saudade Books
      • 2019年10月2日

      Hello folks #10 海を越えて #1 アリス(太田明日香)

      2年間のカナダ滞在経験から「外国で暮らすこと」や「外国人になること」を考える詩とエッセイの連載です。 . 海を越えて わたしたちを分かつもの それはただの海だった わたしたちだった人たちを だれもが思い出していた 海を越えたその先で 同じ言葉と同じ顔 思い出すのは同じ海 わたしたちを分かつもの 金、生活、もう何年も わたしたちだった人たちを 稼ぎ、暮らす毎日が 知らない人に変えてゆく あの海はなんども越えた だけど、同じ海はもう見ない わたしたちを分かつもの 国、戦争、パスポート わたしたちだったころを みな忘れ覚えていない そこにいたことも わたしたちのあの海は 鮭を追って 越えた海 わたしたち、だったころ わたしたちはそこにいた . アリスとの出会い アリスに初めて会ったのは、コミュニティセンターだった。年はおそらく60代(カナダでは年齢を聞くことはあまり一般的ではなくて、結局聞けなかった)。彼女はそこでボランティアをしていて、移民の人たちに英語を教えるクラスの先生や、移民の人が自分の国の料理を教えるクッキングクラブのお手伝いをしている。最初
      Hello folks #9 なんでも食べる #6 食事と家族 後編(太田明日香)
      Saudade Books
      • 2019年8月1日

      Hello folks #9 なんでも食べる #6 食事と家族 後編(太田明日香)

      2年間のカナダ滞在経験から「外国で暮らすこと」や「外国人になること」を考える詩とエッセイの連載です。 ・ なんでも食べる なんでも食べる なんでも食べる 見たことないものを食べる なんでも食べる つくったことないものを食べる 懐かしい料理 誰かの味 見よう見まねでつくる 知ってる味にならなくても食べる おいしくなくても食べる なんでも食べる 空腹を満たすため食べる なんでも食べる 明日働くため食べる さあ、その歯で 世界を噛み砕き 喉を鳴らして 歴史を飲み込め 生きるために食べる なんでも食べる ・ 料理や食卓にまつわる息苦しさの正体は、19世紀の終わりから20世紀の始めにできて、どんどん当たり前になっていった「お母さんが愛情こめて手作りしたごはんを家族そろって食べないといけない」という考え方にあるのではないか。その息苦しさから逃れるヒントを得るため、家庭以外で食事を作ったり、家族以外の人と一緒に食事したり、外食じゃない形で外で食事する場に行ってみることにした。 ある土曜日の夕方、大阪北部の豊中市の住宅街にある小さな長屋を訪れた。ここでは月一回「
      Hello folks #8 なんでも食べる #5 食事と家族 前編(太田明日香)
      Saudade Books
      • 2019年7月5日

      Hello folks #8 なんでも食べる #5 食事と家族 前編(太田明日香)

      2年間のカナダ滞在経験から「外国で暮らすこと」や「外国人になること」を考える詩とエッセイの連載です。 ・ なんでも食べる なんでも食べる なんでも食べる 見たことないものを食べる なんでも食べる つくったことないものを食べる 懐かしい料理 誰かの味 見よう見まねでつくる 知ってる味にならなくても食べる おいしくなくても食べる なんでも食べる 空腹を満たすため食べる なんでも食べる 明日働くため食べる さあ、その歯で 世界を噛み砕き 喉を鳴らして 歴史を飲み込め 生きるために食べる なんでも食べる ・ カナダで知った food security (フードセキュリティ)という言葉から、バンクーバーで食に関する活動や団体が多いのは、移民社会である上に、「食べることは人権に関わることだ」という考えが根本にあるからだと気づいた。その頃日本からのニュースで、子ども食堂のニュースをよく聞くようになった。 子ども食堂は、地域の大人や団体が子どもに無料や安価で食事を提供する取り組みのことだ。子ども食堂の活動を支援する NPO 法人むすびえの調査によると、2019年
      Hello folks #7 なんでも食べる #4 食べ物でつながる(太田明日香)
      Saudade Books
      • 2019年6月9日

      Hello folks #7 なんでも食べる #4 食べ物でつながる(太田明日香)

      2年間のカナダ滞在経験から「外国で暮らすこと」や「外国人になること」を考える詩とエッセイの連載です。 ・ なんでも食べる なんでも食べる なんでも食べる 見たことないものを食べる なんでも食べる つくったことないものを食べる 懐かしい料理 誰かの味 見よう見まねでつくる 知ってる味にならなくても食べる おいしくなくても食べる なんでも食べる 空腹を満たすため食べる なんでも食べる 明日働くため食べる さあ、その歯で 世界を噛み砕き 喉を鳴らして 歴史を飲み込め 生きるために食べる なんでも食べる ・ カナダに住んでから、ポトラック(一品持ち寄り)やコミュニティセンターでの食事会といったような人と一緒に食事する機会が多いことに気がついた。日本では一人で食べているのを目立たなくさせる工夫の方が目立っていたから、その違いが不思議だった。そんなときに、food security(フードセキュリティ)という言葉に出会った。 わたしがこの言葉を初めて知ったのは、毎月最終水曜日に食べ物に関するワークショップを開催しているthe food connection(
      Hello folks #6 なんでも食べる #3 誰かと食べる(太田明日香)
      Saudade Books
      • 2019年5月1日

      Hello folks #6 なんでも食べる #3 誰かと食べる(太田明日香)

      2年間のカナダ滞在経験から「外国で暮らすこと」や「外国人になること」を考える詩とエッセイの連載です。 ・ なんでも食べる なんでも食べる なんでも食べる 見たことないものを食べる なんでも食べる つくったことないものを食べる 懐かしい料理 誰かの味 見よう見まねでつくる 知ってる味にならなくても食べる おいしくなくても食べる なんでも食べる 空腹を満たすため食べる なんでも食べる 明日働くため食べる さあ、その歯で 世界を噛み砕き 喉を鳴らして 歴史を飲み込め 生きるために食べる なんでも食べる ・ 日本で一人暮らししていたときは一人で食べることが多かった。食事の回数も内容もバラバラ。面倒なときには外食したり買ってきた弁当やインスタント食品だったりした。けど、カナダで夫と生活するようになって、朝と夜はうちできっちりと食べるようになった。最初の頃は友だちも知り合いもほとんどいなかったから、一緒に食べる人は夫だけだった。 わたしがバンクーバーで住んでいたのは、ブリティッシュ・コロンビア大学の周辺にある、大学が管理する新興住宅街だった。住んでいた人の多
      Hello folks #5 なんでも食べる #2 ほんとうの料理(太田明日香)
      Saudade Books
      • 2019年4月1日

      Hello folks #5 なんでも食べる #2 ほんとうの料理(太田明日香)

      2年間のカナダ滞在経験から「外国で暮らすこと」や「外国人になること」を考える詩とエッセイの連載です。 ・ なんでも食べる なんでも食べる なんでも食べる 見たことないものを食べる なんでも食べる つくったことないものを食べる 懐かしい料理 誰かの味 見よう見まねでつくる 知ってる味にならなくても食べる おいしくなくても食べる なんでも食べる 空腹を満たすため食べる なんでも食べる 明日働くため食べる さあ、その歯で 世界を噛み砕き 喉を鳴らして 歴史を飲み込め 生きるために食べる なんでも食べる ・ 「こんなのほんとうの◎◎じゃない」。 『美味しんぼ』の初期の頃、主人公の山岡はよくこう言っていた。『美味しんぼ』は言わずと知れた国民的グルメまんが。日本が「経済大国」となって、金にあかせて世界中からいろんな美食を取り寄せられるようになった1980年代に登場したこのまんがは、アニメ化されドラマ化され、瞬く間にブームになった。 世間では『美味しんぼ』はどちらかというとグルメブームの牽引役のように見られていたが、実際はフレンチやイタリアンといった次から次に
      Hello folks #4 なんでも食べる #1 キュウリを買う(太田明日香)
      Saudade Books
      • 2019年3月1日

      Hello folks #4 なんでも食べる #1 キュウリを買う(太田明日香)

      2年間のカナダ滞在経験から「外国で暮らすこと」や「外国人になること」を考える詩とエッセイの連載です。 ・ なんでも食べる なんでも食べる なんでも食べる 見たことないものを食べる なんでも食べる つくったことないものを食べる 懐かしい料理 誰かの味 見よう見まねでつくる 知ってる味にならなくても食べる おいしくなくても食べる なんでも食べる 空腹を満たすため食べる なんでも食べる 明日働くため食べる さあ、その歯で 世界を噛み砕き 喉を鳴らして 歴史を飲み込め 生きるために食べる なんでも食べる ・ わたしがバンクーバーに行ったときにいちばん行った場所はスーパーマーケットだと思う。印象的な思い出も、スーパーマーケットに関するものが多い。 引っ越しの片付けがひと段落ついて、一人で買い物に行った最初の日のことだ。キュウリを買いたかったのだけど、日本で見るようなキュウリはなくて、あったのは日本のキュウリよりも3倍くらい長くて太い野菜。たしか英語でキュウリは cucumber 。値札にもそう書いてあるのに、どうしても買う勇気が出なかった。 スーパーマーケ
      Hello folks #3 暦(太田明日香)
      Saudade Books
      • 2019年2月2日

      Hello folks #3 暦(太田明日香)

      2年間のカナダ滞在経験から「外国で暮らすこと」や「外国人になること」を考える詩とエッセイの連載です。 ・ 暦 めくれめくれカレンダーめくれ どこにあるのか わたしの記念日 いつまでも忘れないため みんなで休む 誰のためか知らないのに みんなで祝う 今日も明日も記念日だらけ どれもわたしと関係ない めくれめくれカレンダーめくれ 印はなくても 今日が記念日 ケーキを食べてお酒を飲んで 山ほど買い物しよう 白い花をたくさん買って お墓参りに行こう 思い立ったらその日が記念日 今日が何の日だっていい めくれめくれカレンダーめくれ 自分の中の特別な日を 真っ赤な色に塗りさえすれば わたしのために 誰かのために 365日の中に 燦然と 一日輝く日があればいい ・ 当たり前のことだけど、違う国に住むとカレンダーが変わり、日本のリズムから、カナダのリズムで生活することになる。 カナダにいたときに、天皇の生前退位がニュースになった。昭和の終わりをおぼろげに覚えているから、天皇の代替わりがいかにビッグニュースかと驚くはずなのに、「平成」が終わることをどこか遠い国のニ
      Hello folks #2 空港で(太田明日香)
      Saudade Books
      • 2019年1月7日

      Hello folks #2 空港で(太田明日香)

      2年間のカナダ滞在経験から「外国で暮らすこと」や「外国人になること」を考える詩とエッセイの連載です。 ・ 空港で 入り口と出口 そこからみな旅をする 来る人を迎え 行く人を送り たとえ口約束でも 何度でも また会いましょう 喜びと悲しみ 楽しみと不安 同じじゃないけど 知っている こんなにもやさしかっただろうか わたしたちはふだん 境界と通過点 そこには長く留まれない 去る人にはさよならを 帰ってきたらおかえりを たとえ一度限りでも もう一度 また会いましょう 寂しさと懐かしさ 恋しさと切なさ 同じじゃないけど わかる こんなにも情け深かっただろうか わたしたちはふだん 目的地は違えども そこではみなただの人 場所から場所へ 空の上を たとえ最後でも 何度でも 握手と抱擁を 口づけと涙 花束と贈り物 同じじゃないけど そこでは同じ わたしたちはただの人 旅をするただの人 ・ 日本に住んでいた頃は空港なんて数えるほどしか行ったことがなかった。だけど、バンクーバーに住むようになってからは頻繁に訪れるようになった。いろんな人がやって来るようになって、送
      Hello folks #1 あいさつと身分証(太田明日香)
      Saudade Books
      • 2018年12月1日

      Hello folks #1 あいさつと身分証(太田明日香)

      2年間のカナダ滞在経験から「外国で暮らすこと」や「外国人になること」を考える詩とエッセイの連載です。 ・ あいさつと身分証 Hello folks やあ 呼びかけてみる 見知らぬ人に それだけじゃ友達にはなれない けど それでもいいから 呼びかけてみる やあ 目があって 微笑みあえば もしかしたら 友達になれるかもしれない やあ 呼びかけてみる 旅する人に そのとき限りの出会いかもしれない けど それでもいいから 呼びかけてみる やあ うなずきあって 言葉を交わせば このまちを また訪ねてくれるかもしれない やあ 呼びかけてみる 世界中の人に 言葉なんてわからないかもしれない けど それでもいいから 呼びかけてみる やあ とまどっても 声をかければ その時小さな 居場所ができるかもしれない やあ 少し勇気がいるかもしれない けど 呼びかけてみよう 自分がかけられたように ここにいてもいい 一人じゃないと 思えるように 呼びかけてみよう いつかの自分に声をかけるように やあ ・ 去年の冬、『希望のかなた』という映画を見た。ちょうど2年近くのカナダ
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