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今月の風の声

最終更新: 2019年9月15日


2019年9月14日(土)



大きな台風が通り過ぎましたが、気持ちはまだざわざわしています。2019年9月号をお届けします。





前号まで「食べることは歌うこと」という詩とコラムのリレー連載をおこないました。


畑を耕す人、パンを焼く人、ハーブを育てる人、カフェを営む人。ローカルで生活を営み、広い意味で「食」にかかわる仕事をする人に、「食べること」をテーマにしてことばを寄せてもらっています。ご登場いただいた料理家のどいちなつさん、パン屋のミシマショウジさん、アウトドアライフ・アドバイザーの寒川一さん、布作家の早川ユミさん、TABI食堂などさまざまな活動をおこなう佐々琢哉さん、『人生最後のご馳走』の著者でライター・編集者の青山ゆみこさん、ありがとうございました。


この企画に連動して、月替わりで「コップの絵」を描いてくださった画家のnakabanさんにも感謝します。


ごはんを味わうことと、ことばを話すことが交わる場所として舌があります。


ここ数年、あちこちのローカルの地を旅するなかで、自然に寄り添う暮らしをしながら「食」にかかわる仕事をする素敵な方々に出会い、お話を聞かせていただく機会がありました。すこやかな舌をもち、食べることを大切にする人びとが語ることばに耳を傾けると、心身のふかいところでいのちが踊り出す喜びを抱くことがしばしばありました。まるで、大好きな歌や音楽を聴きながら、胸を震わせているときのように。


すこやかな舌には、すこやかなことばが宿る。すこやかな歌が宿り、すこやかな音楽が宿る。


そんな直感から、「食」にかかわる仕事をする人に「詩」(それは人類のもっとも古くてシンプルなことばによる表現手段の一つです)を書いてもらう、というアイデアが心に兆しました。彼ら彼女らのすこやかなことばがまっすぐ根をおろすいのちの世界を、読むという時間のなかで読者一人ひとりが静かに味わい、野の恵みを分かち合うようにみんなで共有する場をひらきたい。


それは今という時代においてとても大切なことではないか。そんな問いかけからはじまった企画です。


「食べることは歌うこと」というリレー連載は、2020年以降、リトルプレスの本としてあらためて編集し、サウダージ・ブックスより出版する予定です。





前号に引き続き、流浪の詩人シュテファン・バチウ(Ștefan Baciu, 1918–1993)を紹介します。その足跡を追って、ルーマニアからスイス、ハワイへと旅を続ける研究者・阪本佳郎さんの詩の連載の第3回を掲載します。


特別寄稿として、写真家・宮脇慎太郎さんの「ローカル・トライブ(前編)」を掲載。2019年12月に新泉社より刊行予定の著者のノンフィクション『ローカル・トライブ』に収録予定の序章を、2回にわけて紹介します。


佐々琢哉さんの「巡礼となりて」。高知県の四万十山暮らし、素朴で質素な営みを願う日々を詩とエッセイでつづります。第7回のテーマは「葉月 旅の終わりにて、夏の終わりにて」。シベリアの野の風景に、忘れられた歴史と記憶を尋ねる道行きの記録です。



表紙のイラストは、画家の nakaban さんの作品。「コップ」の絵のシリーズは、これが最終回です。眺める私たちの気持ちまでしんと静まり返るような、コップと水の静謐な佇まい。